STUDIO BREITLING

 
 

技術者コラム

 

機械式クロノグラフ機構の仕組み2(2009/7/31)

〜クロノグラフの基礎講座 その3〜

こんにちは。スタジオ・ブライトリングの黒田剛志です。今回もクロノグラフの基礎講座です。クロノグラフをまだよく知らない方に是非読んでいただきたいお話です。

前回はブライトリングCal.13の動きをもとに機械式クロノグラフの仕組みを勉強しました。機械式クロノグラフの動きが大まかにご理解いただけたと思います。 一方で「他にも違った仕組みのものがあるのでしょう」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。確かにクロノグラフには他にも種類がありますが、前回ご紹介した3つの主要装置、<(1)システム制御装置><(2)動力伝達装置><(3)積算計の帰零装置>を覚えていれば大丈夫です。
なぜならほとんどの機械式クロノグラフは、大まかに言えばシステム制御装置と動力伝達装置、すなわちカムクラッチの2つの仕組みに違いがあるだけだからです。今回は、この2つの仕組みの特徴をそれぞれご説明します。

○システム制御装置=カム
 カムには2種類があります。前回ご紹介した作動カムの他にもう1つ、コラムホイールです。コラムホイールはプッシュボタンを押すたびに一方向に少しずつ回転していきます。構造は上下2段に分かれ、上の歯は6〜9本ほどの柱状の形をしており接触する部品達の動きを制御しています。下の歯は回転力をプッシュボタンから受けとるところです。
コラムホイール作動カムはそれぞれ特徴が違います。
 作動カムは構造的にシンプルで製造が比較的容易です。これは機械として重要なことで、確実な作動や耐久性の面でメリットがあります。
 対してコラムホイールは部品の製造が大変です。コラムホイール自体が回転するため、制御される部品は毎度コラムホイールの違う歯と接触することになります。そのため多数ある上下の歯すべてに厳密な精度が要求されます。一箇所でも精度が悪いとその場所にきたときに部品の動きがおかしくなってしまいます。製造の面では大変ですが、コラムホイールはシンメトリーな形状の美しさから、高級機械式時計では好んで採用されている仕組みでもあります。